himac APPLICATION
No.74 MARCH 1997
  • 機種:高速冷却遠心機用R5E形/エルトリエータロータ
  • エルトリエータ細胞分離システムを用いてイネのプロトプラストを分離した例

目的

最近の植物の品種改良では細胞融合や遺伝子導入等が利用されていますが、これらの方法では植物のプロトプラストを使用するため、高い分裂活性と遺伝子導入効率を持ったプロトプラストの選抜が必要となります。
一方、酵素処理したプロトプラストは様々な大きさであり、このサイズが分裂活性に大きな影響を及ぼしていることが示唆されています。また、有用遺伝子の導入効率はプロトプラストの表面積に左右されます。
このため、エルトリエータロータを用いてプロトプラストをそのサイズにより分離を試みた結果、3つの細胞群に分離することができました。(himac APPLICATION No. 63 1994)今回、分離した各々のプロトプラストを培養し、その分裂活性と遺伝子導入効率を比較しました。

結果

サイズの大きいプロトプラストが分裂活性、遺伝子導入効率共に高いことが判明しました。
(1) 分裂活性はエルトリエータロータで分離していないものの約2倍高い値でした(図1)。
(2) 遺伝子導入効率はエルトリエー夕で分離していないものの2〜3倍高い値でした(図2)。
*それぞれの値はコントロールのGUS活性を1とした相対値で表しています。


図の説明

  • A
  • フラクション2と3で流出した細胞(平均細胞径11μm)
  • B
  • フラクション4と5で流出した細胞(平均細胞径15μm)
  • C
  • フラクション6と7で流出した細胞(平均細胞径17μm)
  • Control
  • エルトリエータロー夕で分離していない細胞

実験方法

(1) 試料名

イネ(品種名:“朝の光”)

(2) 細胞数

1×108

(3) 分離用バッファ

0.5M マンニトール
0.01% CaCl2

(4) 分離条件

フラクション 回転速度
(rpm)
流量
(ml/min)
分画時間
(min)
分画量
(ml)
1 1,500 3 10 30
2 1,500 4 10 40
3 1,500 5 10 50
4 1,500 7 10 70
5 1,500 10 10 100
6 1,500 14 10 140
7 1,500 18 10 180
8 0 18 3 50
合計 - - 76 660

(5) 培養条件

(1) 106個/mlのプロトプラストを45℃に保温しておいたアガロース培地に懸濁する。
(2) 径6cmのプラスチックシャーレに1mlずつ円盤状に薄く広げ包埋置床する。
(3) R2液体培地(1mg/1 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸と13.7%ショ糖を含む)で2週間ナース培養する。
(4) R2液体培地とN6液体培地を等量混合した培地(1mg/1 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸と3%ショ糖を含む)で培養する。

(6) 遺伝子導入条件

  • (1)
  • 導入プラスミド
    pBI221プラスミド(β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子をCaMV35Sプロモーターの制御下に置き、pUC19のマルチクローニングサイトに導入したもの)
  • (2)
  • エレクトロポレーション法により上記プラスミドを導入
    プラスミド量:5μg/ml
    電圧:375V/cm
    電気容量:220μF
    パルス幅:1回

本アプリケーションは、(株)日立製作所 基礎研究所との共同研究によるものであり、詳細は1995年度農芸化学会大会で発表しました。